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アガリクスという名前がひんぱんに聞かれるようになったのは、つい最近のこと。
もともとアガリクス・ブラゼイ・ムリルというキノコは、日本には自生していないものです。
それでは、いったいいつどうやって日本に来たんでしょう?
事の発端は、今から40年以上前のこと。
ブラジルで農業を営む日系移民の古本隆寿さんが、キノコ栽培研究で知られる三重大学の岩出亥之助博士の元に、
とあるキノコの種菌を送ったのが始まりでした。
もともとシイタケの栽培を手がけていたという古本さんは、趣味でブラジルの山中にキノコ探しによく出かけていたといいます。
その中である日、見たことのない珍しいキノコを見つけました。
ブラジルでは昔から自生していましたが、ごく一部の場所にしか生えないため、
「幻のキノコ」「神のキノコ」と呼んで地元の人は大事に大事に食べていたそうです。
古本さんは、早速そのキノコを家に持ち帰って調べてみました。
ところが何のキノコなのか、書物を読んでも名前すらさっぱりわからない。
そこで、キノコ培養についてかねてから親交のあった岩出博士に「日本にはない珍しいキノコがある」と手紙とキノコを送り、鑑定を依頼したのです。
そして研究の結果、それが「アガリクス・ブラゼイ・ムリル」と呼ばれる学名のキノコであることが判明したのです
私たちはほとんど目にすることのない実物ですが、マッシュルームより柄が太くて長く、
香りが強く、噛むと甘みがあって歯ざわりがよいそうです。
そこで当初は、食用として栽培がスタートしたとか。
ところが母国ブラジルでも、自生していたのはごく一部の場所のみ。
ましてや気候も風土も違う日本ではなかなか栽培がうまくいかず、道のりは決して楽ではありませんでした。
種菌を培養し、効率よく育成する栽培法を研究する日々…。
試行錯誤の結果、マッシュルーム栽培をヒントにして、稲ワラなどの堆肥の上に土でウネ床を作り、
その根元に種菌を接種するハウス栽培 「ウネ作り法」が1975年に確立。
日本上陸から、実に10年もの歳月が流れていました。
安定生産ができるようになるには、さらに3年の時間を必要としたのです。